自分で会社を興した人にとって、信頼を寄せていた社員の不祥事というのはつらいものです。
たとえば、社員が会社のお金を横領し、それによって自身が自己破産の検討を余儀なくされたとき、免責はどうなるのでしょうか。
少し複雑なケースになりますが、以下で詳しく見ていきましょう。
言わずもがな、横領は違法行為にあたります。
ということは被害者側は当然、権利を主張して法的な手段をとることが可能です。
賠償責任が確定すれば、加害者側の財産を差し押さえ、換価処分した後賠償されます。
このケースであれば、自身が自己破産をしなくとも経営を回復することが可能です。
ではそれ以外のケースについてみていきましょう。
まずは横領者が自己破産を行った場合です。
自己破産というのは、主にその人の持つ債務に対して効力を発揮します。
ここで注意しておきたいのが、帳消しにできるのはあくまでも債務であるという部分です。
つまり、横領したお金を持ったまま自己破産をしても、刑事責任から逃れられるわけではありません。
横領で手に入れたお金は違法なものであり、債務ではないからです。
それ以前に、違法行為を行った時点で裁判所からの免責が認められることはまず考えられません。
最後に横領された被害者本人が自己破産を検討する場合についてご説明しましょう。
得てして、横領を行う人物というのは生活に困窮している場合があります。
違法行為も厭わぬほど生活が困窮しているとなれば、目ぼしい財産もほとんどないと考えて良いでしょう。
上記に挙げたように、法的手段によって加害者側の財産を差し押さえたとしても、ほとんど補填にならないといったケースも考えられます。
免責決定が下りるか否かについて言えば、まず間違いなく免責は認可されます。
横領行為によって経営が圧迫、または破産し、それに伴う債務であると考えれば当然のことです。
横領という違法行為に対しても、取れる手段はたくさんあります。
どのようなケースでもあきらめることなく、まずは知識を身に着け、具体的かつ現実的な方法について検討できるようにしましょう。